公的年金、私的年金の制度

1 そもそも年金制度とは
どんな制度?

日本の年金制度は、国が運営する「公的年金」が土台となり、その上乗せとして企業が独自に実施したり、個人が任意で加入する「私的年金」があります。 公的年金と私的年金は下図のようになっています。

国民全員の加入が義務づけられている「国民年金」、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する必要がある「厚生年金」、ここまでを「公的年金」といいます。
公的年金に上乗せして企業や個人が任意で加入することができる年金制度が「私的年金」です。「確定拠出年金」は「私的年金」に相当し、公的年金の上乗せとして、老後の生活資金に備える制度です。

日本の年金制度

日本の年金制度

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図:日本の年金制度
  • ※1第2号被保険者の配偶者であって主として第2号被保険者の収入により生計を維持する者のうち20歳以上60歳未満の者のこと。公的年金としては国民年金のみに加入しており、サラリーマンや公務員等に扶養されている配偶者のこと。
  • ※2企業型確定拠出年金に加入されている方で、マッチング拠出を実施しておらず、企業型確定拠出年金の規約において事業主掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっている場合、個人型確定拠出年金(iDeCo<イデコ>)と同時加入できます。
  • ※3企業型確定拠出年金のみ加入されている方は、iDeCoとの同時加入にあたり、月額5.5万円から各月の企業型確定拠出年金の事業主掛金を控除した残余の範囲内(上限2万円)でiDeCoの掛金を各月拠出できます。
  • ※4企業型確定拠出年金と確定給付企業年金に加入されている方は、iDeCoとの同時加入にあたり、月額2.75万円から各月の企業型確定拠出年金の事業主掛金を控除した残余の範囲内(上限1.2万円)でiDeCoの掛金を各月拠出できます。
  • ※5企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、または厚生年金基金を実施していない場合、かつ一定の要件を満たすことで、中小事業主掛金を上乗せして拠出することができます。(その場合、加入者掛金と中小事業主掛金の合計が年額27.6万円)

職業や勤めている会社によって自分の受け取る年金の種類が異なり、年金額も違います。自分の加入している年金、年金額をしっかり把握してそれぞれに応じた対策をしましょう!

2 公的年金、私的年金とは
どんなもの?

公的年金

国が社会保障の一環として運営している「公的年金」は、以下の2つに分類されます。

国が社会保障の一貫として運営している公的年金

< 国民年金 >

20歳以上60歳未満の日本に居住するすべての人が加入します。年金制度の土台となるもので、基礎年金とも呼ばれます。
給付には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類があり、このうち老齢年金については、原則として、加入期間10年以上の方が給付の対象となります。

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加入対象者 20歳以上60歳未満の日本に居住するすべての人
納付者 加入者本人
納付額 16,490円/月 ※平成29年時点での納付額です
< 厚生年金 >

民間企業の従業員、公務員等を対象として、国民年金の上乗せとして所得比例年金の給付を行う制度です。
給付額は、「在職中の給与」・「加入期間」によって異なります。

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加入対象者 民間企業に勤める会社員・公務員・私立学校教職員
納付者 加入者本人と企業(組合)の折半
納付額 給与により異なる
(例)
  • 標準報酬月額32万の場合、厚生年金保険料額は
    → 毎月58,560円(うち本人負担額29,280円)
  •  
  • 標準報酬月額41万の場合、厚生年金保険料額は
    → 毎月75,030円(うち本人負担額37,515円)
  • 上記は一般(厚生年金基金加入員を除く)の場合
  • 公務員と私立学校教職員は保険料率が異なりますので当てはまりません。

私的年金

「私的年金」は、「企業が自社の退職金制度に関する福利厚生の一環として実施する年金」と「個人が任意で加入する年金」があります。

企業が自社の福利厚生の一環として実施する年金

< 企業型確定拠出年金 >

確定拠出年金法に基づいた年金制度で、企業があらかじめ決まった掛金を加入者に対し在職中に拠出することから「確定拠出」と呼ばれています。退職時の給付額をあらかじめ決め企業が運用責任を負う「確定給付」に対し、拠出された掛金を加入者が自らの責任において管理・運用を行う点が特徴です。
会社によっては、加入者が企業からの掛金に任意で上乗せ拠出をすることができる「マッチング拠出」が認められている場合もあります。

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加入対象者 企業型確定拠出年金を実施する会社に勤める原則70歳未満の人
負担者 原則企業
掛金上限額 330,000円または660,000円/年(企業により異なる)
< 厚生年金基金 >

企業が、特別法人として「基金」を設立し、その基金が主体となって、年金資産の運用・管理を行います。
厚生年金の一部を国に代わって支給する〈代行部分〉と、企業が上乗せ給付を行う〈プラスアルファ部分〉の2つで構成されています。

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加入対象者 設立事業所に勤める人
負担者 原則企業
掛金額 給与によって異なる
< 確定給付企業年金 >

確定給付企業年金法に基づいた年金制度で、あらかじめ退職後の給付額が確定しています。
勤務先の制度において確定拠出年金からの移換が認められている場合、企業型年金の加入者資格を喪失した日の属する月の翌月から起算して6ヶ月以内であれば移換の申し出を行うことが可能です。また、国民年金基金連合会へ自動移換済みの者が加入者資格を取得した場合、資産の移換を行うことが可能です。
なお、本人拠出相当額は拠出時に課税、給付時に非課税の取り扱いになりますが、企業型年金では拠出時に非課税の取扱いであることから、企業型年金の本人拠出相当額を移換する場合は、給付時に課税されることになります。
企業型年金から資産の移換を行う場合、確定拠出年金に加入していた期間(勤続年数を含む)が移換先の制度設計に合わせた期間に調整される可能性があります。また、企業型年金の資産の移換に係る期間は通算加入者等期間から控除されますが、企業型年金と個人型年金に同時に加入する者であって、企業型年金の資産のみを移換する場合には個人型年金の加入者期間に影響はありません。

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加入対象者 確定給付企業年金の設立事業所で働く人
負担者 原則企業
掛金額 企業によって異なる

個人が任意で加入する年金

< 個人型確定拠出年金(iDeCo<イデコ>) >

加入者が自らの責任において年金資産の拠出・運用を行います。
加入者掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。

会社によっては企業が加入者掛金に上乗せ拠出することができる「中小事業主掛金納付制度」を導入している場合があります。
また、様々な税制優遇が受けることができ、運用次第で給付額を増やすことができるなど、老後の資産形成に役立ちます。

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加入対象者 納付者 加入可能年齢 掛金上限額
国民年金第1号被保険者
(自営業者)
加入者
本人
20~64歳
(60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方)
816,000円/年
(国民年金基金への加入状況によって異なる)
企業年金のない会社
に勤める会社員※4
原則加入者
本人
20~64歳※4 276,000円/年※1
専業主婦・主夫 加入者
本人
20~64歳
(60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方)
276,000円/年
企業型確定拠出年金
のみの会社員※2※4
加入者
本人
20~64歳※4 240,000円/年
企業年金
のある会社員※3※4
加入者
本人
20~64歳※4 144,000円/年
公務員 加入者
本人
20~64歳 144,000円/年
  • ※1企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、または厚生年金基金を実施していない場合、かつ一定の要件を満たすことで、中小事業主掛金を上乗せして拠出することができます。(その場合、加入者掛金と中小事業主掛金の合計が年額27.6万円)
  • ※2企業型確定拠出年金のみ加入されている方は、月額5.5万円から各月の企業型確定拠出年金の事業主掛金を控除した残余の範囲内(上限2万円)でiDeCoの掛金を各月拠出できます。
  • ※3企業型確定拠出年金にも加入されている方は、月額2.75万円から各月の企業型確定拠出年金の事業主掛金を控除した残余の範囲内(上限1.2万円)でiDeCoの掛金を各月拠出できます。
  • ※4公的年金の受給権を有しない場合、65歳以降も加入可能です。
  • ※5iDeCoの老齢給付金を受給された方は、iDeCoには再加入できません。一方、企業型DCの老齢給付金を受給された方であっても、iDeCoへの加入は可能です。
  • ※6老齢基礎年金又は老齢厚生年金を65歳前に繰上げ請求された方は、改正によりiDeCoの加入要件を満たした場合であっても、iDeCoに加入することはできません。
< 国民年金基金 >

自営業者等の第1号被保険者が任意で加入し、加入口数(掛金)や給付の型を自ら選択することで、国民年金に上乗せ給付を行います。
掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。

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加入対象者
  • 日本国内に居住する自営業者とその家族
  • 国民年金の第1号被保険者(※)
  • 国民年金の任意加入被保険者である
    60歳以上65歳未満の人
  • 掛金額は全額所得控除の対象となります。
  • 国民年金の保険料を免除されている人、農業者年金被保険者を除く。
納付者 加入者本人
納付上限額 最高68,000円/月
(加入者の勤務先や国民年金基金への加入状況によって変わる)

掛金の下限は年齢、性別により異なります。

3 公的年金は
いつからもらえる?

公的年金の支給年齢

公的年金の支給開始年齢は原則65歳です。60歳で定年退職する場合はその後5年間、公的年金を受け取ることができません。給付までは働く、退職時の貯蓄を切り崩すなどの方法もありますが、確定拠出年金など公的年金以外の制度に加入しておくことで、公的年金受給までの空白の期間を補うことも可能です。

公的年金の受給見込額

令和5年度の公的年金受給見込額(月額)

※図がはみ出す場合は左右にスクロールできます

図:平成26年度の公的年金受給見込額(月額)

このページのまとめ

日本の年金制度は国が運営する「公的年金」と企業が独自に実施したり個人が任意で加入する「私的年金」に分かれています。「公的年金」の支給開始年齢は原則65歳です。もし60歳で定年を迎えるとなると、定年退職後の5年間にわたり公的年金が受け取れません。
この空白期間をどのようにして埋めるのかはとても大きな問題となります。確定拠出年金など私的年金に加入しておくなど、空白期間を補う方法を考える必要がありそうです。

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